混合診療が許された唯一の医療制度

通常、病院へかかる場合、健康保険の適用を受けて、国が治療にかかる費用のうちの7割〜10割を負担してもらえます。この保険治療は、国が定める診療報酬体系に沿ったものしか、保険適用されません。例えば、胸腹部の超音波検査だったら530点、  頭蓋骨腫瘍摘出術は、23,490点などと、保険適用できるものはすべて国が定めています。地域により若干の差はありますが、1点10円の換算になります。

逆に保険適用されないものはすべて自由診療という扱いになり、全額自費で治療に掛かる費用を負担しなければなりません。一般的には美容外科などが自由診療の代表例です。この保険診療と自由診療は、どちらか一方しか選べず、美容診療で目を二重にする際に、事前の診察や麻酔など保険診療で点数が定められているものも、自費診療で負担しなければいけません。

その例外が、先進医療です。代表的なものは、癌治療の方法の一つである重粒子線治療や樹状細胞療法などですが、国が定めた範囲の中で先進的な治療を自費で受けることができます。300万円前後かかる重粒子線治療を例にご説明しましょう。自由診療であれば、300万円の先進部分以外に、検査や入院など通常のがん治療に関わる費用として300万円掛かったとします。自由診療であれば、600万円自己負担のところ、先進適用された重粒子線治療の場合、先進部分の300万円と一般治療300万円の3割の自己負担の合計390万円で済みます。先進的な治療を負担を少なく受けることができ、唯一の混合診療といえるでしょう。高額な自由診療部分の費用も、年末調整で控除対象となりますので、治療を受けた際の領収書は大切に保管しておきましょう。